もう10月ですね。早いものです。
今日は、知っていても知らなくても、どっちでもいいことを書きます。たまには、どうでもいいことを書いて息抜きしないと、やってられませんからね。
今回披露する私の知識は、およそ30年前に、私が通っていた大学のフランス語の先生から聞いて得たものです。暦に関する話。
ただ、私が先生からこの話を聞いてから既に長い年月が経過しています。その間に「実は、この説は誤りだった」ということが判明していたとしても、責任は負えません。悪しからず。
この記事の初めで、私は「もう10月ですね」と書きました。英語で10番目の月は“October”。これは、みんな知ってますよね。
では海に住んでいる「タコ」は英語で何でしょう。“Octopus”です。単語の初めの4文字が、Octoberと同じですね。となると、“octo”とは一体何なのか。
“octo”はギリシャ語で「8」を意味します。そして、“pus”は「脚」。つまり、タコの特徴である「8本の脚」を、そのまま名前にしたんですね。
でも、ここで素朴な疑問が湧いてきます。“Octo”が8を意味するなら、“October”は、8番目の月であるのが自然です。それなのに実際には、10番目の月になっています。なぜなのか?(octoの後にある“ber”が何を意味するかは質問しないでください 笑)
その理由について、先生は「西洋の暦の変遷が原因である」と教えてくれました。
かつて、古代ローマの暦では、1年を10ヶ月としていたそうです。しかし、ある時、ローマ人は考えました。「1年を10ヶ月として数える暦を、12ヶ月に変えてしまおう! 」と。(なんでそうなったかも質問しないでください)
その暦を大変革するムーブメントが起きた時、現在の英語で言うところの“June”の後ろに、“July”と“August”が割り込んできたのです。10ヶ月に2ヶ月足さないと、12ヶ月になりませんから、当然と言えば当然。
そして、元々は「8番目の月」だった“October”からすると、前のほうに“July”と“August”が割り込んできたのですから、それは2ヶ月後に追いやられます。結果として「10番目の月」になってしまったのです。
この2つの月が加わったことにより、元々は7番目の月だった“September”は9番目の月になり、元々は9番目の月だった“November”は11番目に、元々は10番目の月だった“December”は12番目の月になった。みんな2ヶ月ずつ後ろにズレてしまったというわけです。
それではここで、後ろに移動せざるをえなくなった月々の綴りを、あらためて眺めてみましょう。
September···“sept”は、フランス語で、ずばり「7」を意味します。
October···「8」。これは上で書いたとおり。
November···“nove”は、イタリア語で、ずばり「9 」。
December···これは、フランス語やイタリア語と、ぴったり一致はしません。しかし、フランス語で「10」は“dix”。イタリア語で「10」は“dieci”。綴りも発音も似ています。
こうして綴りを眺めると、これら4つの月が、元々は何番目の月だったかが、はっきり見えてきます。
以上、かつて8番目の月だった“October”が、なぜ現在では10番目の月になっているのかという話でした。
それにしても、こういう面白い話を授業の中に時々はさんで寄り道してくれる先生って、いいですね。私は好きです。暦に起きた、この一大事のことを聞いた時も「へーっ」と感心したのを覚えています。
ちなみに、途中で暦に加わった“July”は、古代ローマの英雄“Julius Caesar”が由来だと、先生は教えてくれました。
そして、“August”は、ローマ帝国の初代皇帝“Augustus”(アウグストゥス)の名が由来だとか。これまた「へーっ」でしたね。
フランス語の先生のお名前は、もう忘れてしまいました。でも、先生のお顔は、なんとなく覚えています。今もお元気なら、既に80歳を過ぎているはず。懐かしい…
当時、大学生だった私は、この豆知識と言うべきエピソードを、30数年後の自分が覚えているなんて、これっぽっちも想像していませんでした。
その時は、ただ面白かっただけの小さなストーリーが、案外、意識の底に長くとどまって、想い出になったりする。人生って不思議です。