職場の問題について考える~その8~目黒区が公益通報の調査結果を削除した!?

またもや目黒区役所が問題を起こしてくれたようなので、このブログで分析します。

みなさん、ちょっとこれね、本当に驚くべきことです。常識人である我々のような人間からすると、にわかには信じ難い。「おいおい、ここまでやるか?」というレベルの話です。

今回、目黒区がやらかしてくれた現象を端的に述べると、次のとおりです。

区公式ホームページで公表していた「公益通報の調査結果」ページを、しれっと丸ごと削除した

目黒区が「自らに不都合なことは徹底的に隠す、言い逃れをする」という性質を持っていることは、私がこのブログで繰り返し書いてきたところです。

今回の「公益通報調査結果の丸ごと削除問題」は、その隠蔽体質、言い逃れ体質の根深さを、図らずも自ら証明してしまったと言えるでしょう。

まず、この問題の経緯をよく知らない方のために、ことの発端から現在(5月8日)までの流れを、時系列で表してみます。

なお、皆さんに前提として知っておいてほしい知識があるので、次に記します。

区政に関わる情報を区民に広報する手段はいくつかありますが、広く親しまれているのは主に2つです。

ひとつは、毎月1日と15日に発行される「めぐろ区報」。2022年度から全戸配布しています。

もうひとつはホームページ。区報に掲載された記事は、原則として区公式ホームページにも載っています。区報は当然ながら紙面に限りがあるので、長い文章を載せるのには向いていません。

今回、私が論じようと思うテーマは、区から区民へ正確に伝えるためには相当の文章量を必要とします。もちろん区報にも掲載されましたが、やはりその文章の量、また広く国民に知ってもらうべき内容であるため、ホームページが最も適した媒体です。

そのため、このブログでも、主に目黒区公式ホームページ上で発信されている、または発信されていた内容を取り上げます。

では、この問題を時系列で書いてみましょう。

1 「区政の透明性向上のための3制度」の運用状況の公表

(2022年6月15日 区公式ホームページ及び同日発行めぐろ区報)

ここで言う「区政の透明性向上のための3制度」とは、1.職員倫理制度、2.公益通報者保護制度、3.要望記録制度、のことです。

要するに「2021年度(令和3年度)も終わったので、この1年間で、これら3制度がどのように運用されたか、その状況を公表しますよ」というわけ。

これって毎年公表してるんですけど、「そんな制度があるなんて初めて知ったよ」という区民の方も多いのではないでしょうか。

それもそのはず、できるだけ目立たない方法で公表してるからなんです。

これは別に私の思い込みではなく、客観的に見て、意図的に目立たせないようにしています。少なくとも、そう疑われても当然という公表の仕方です。このことも後で説明しますね。

この6月15日更新時の内容は「1」で書いた3つの制度のうち、2021年度において唯一実際に運用実績のあった「公益通報者保護制度」について公表したものです。長い制度名なので、以下、原則として「公益通報」といいます。

公益通報とは、世間一般で親しまれた言い方をすれば「内部告発」です。組織内部で違法または不当と疑われる行為を発見した従業員等が、それを第三者機関(弁護士など)に通報して調査してもらうことです。

この通報を受けて、実際に不正行為が存在するのか調査する人を、公益通報者保護委員と呼びます。これも名称が長いので、以下、原則として「委員」といいます。

委員に調査してもらった結果、違法性等の有無を確認し、もし正されるべき問題が存在した場合、それを是正につなげるための制度です。

問題が存在するのに、それを是正できなかったとしたら、せっかく通報した意味がないですからね。

制度の名称について説明すると、通報したことによって通報者が不利益を受けることがないよう保護する制度なので、「公益通報者保護制度」というわけです。

さて、この公益通報ですが、直近では2021年度の実績が、区公式ホームページで報告されています。

2022年6月15日更新のホームページによると、2件受理されていると書いてある。

うち1件は(2021年4月22日受理)、違反や違法の事実を確認できず、調査を継続しても判断できないという理由により、途中で調査を打ち切った、という主旨のことが書かれています。

もう1件は、2022年2月22日に受理されており、同年6月15日時点において、「調査結果」欄には、(現在、公益通報者保護委員が調査中)と書いてありました。

区当局からすると、「2021年度も終わりに近づいた2022年2月に受理して、それから調査を始めたので、今、もう2022年度の6月になってるけど、調査結果が出るまで、もう少し待っててね」ということです。

2 公益通報者保護制度による通報の受理及び調査結果

(2022年7月13日 区公式ホームページ及び同年7月15日発行めぐろ区報)

6月15日のホームページでは、調査結果が出るまで待ってくれという内容のことを、区は書いていました。そして、いよいよ委員が調査を終え、その結果が公表されました。それが7月13日更新のホームページ及び7月15日発行の区報です。

2021年度には目黒区で公益通報が2件も受理されており、うち1件は委員(弁護士)による本格的な調査が行われ、その調査結果も公表されていた。このブログを読んで、その事実を初めて知った方もいるでしょう。

当然、どんな調査結果だったのか知りたいですよね? しかし、ここで目黒区民の皆さまに残念なお知らせです。

調査結果は、もう見られません。

「えっ?」と思いましたか、そこのあなた。そりゃあ思いますよね。当たり前です。ではもう一度、繰り返します。

調査結果は、もう見られません。

なぜなら、区当局が削除したからです。2022年7月13日更新のホームページで公表された「公益通報者保護制度による通報の受理及び調査結果」というページ(コンテンツ)そのものが、ごっそり跡形もなく消されたのです。

しかし、同年6月15日更新のホームページで公表した途中経過、すなわち「1」で説明した運用状況の公表ページは、そのまま残っていました。途中経過を報告するページは残してあるが、肝心の調査結果を公表するページのほうは削除したわけです。

このことから推察される、区当局の職員の頭の中は、こんな感じではないでしょうか。

「途中経過の公表ページまで消しちゃうとアレだから、調査結果だけこっそり消しておこう。これってウチらに都合悪いことが書いてあるから」

ちょっと想像力を働かせすぎたかもしれませんが、当たらずとも遠からず、だと私は考えています。

だって、2019年9月に税務課職員が起こしたDV被害者個人情報漏洩事故だって、事故発生から1年間もプレス発表しなかった(隠蔽していた)目黒区のことですからね。

今回のように、A4用紙に印刷しても2ページ程度の記事を消すくらいのことは、平気でやりかねない。そう思われても仕方ないです。私だって、たまたま気づいただけで、あやうく見落とすところでした。まったく気が抜けません。

ちょっと監視の目を離すと、すぐに都合の悪いことを隠す自治体なのだと、あらためて思い知らされました。ほんとに恐怖ですね。

(なお、調査結果公表ページが消されたのがいつなのか、私も正確な日付は把握できていません)

ところで、元々、2022年7月13日更新のホームページには、委員による調査結果がそれなりの文章量で公表されていました。

「それなりの文章量」と私が言う意味を説明します。

目黒区は、委員が作成した調査結果報告書のうち、自らに都合の悪い箇所を伏せて公表していたのです。

その都合の悪い箇所には、通報の対象となった部署名も含まれています。また、当該部署が抱える諸問題の根底にある原因について分析した箇所も、バッチリ伏せています。

隠すということは、知られたくないということ。知られたくないのは、明るみに出ると、それを正さなければならなくなるからです。

問題があるのに、そんなものは無いと言い張ったり隠したりするのは、本気で問題を解決する意思が無いことの証左です。だから見つからないように小細工をするのですよね。

さて、どの部署で不正が疑われる行為があったのか、部署名くらいは最低でも公表すべきだと、区民の皆さんは思いませんか?

だって「区政の透明性向上」のための制度なんですよね、これって。それなのに部署名は隠していたし、そもそも委員が作成した調査結果報告書のうち、相当な箇所を伏せて公表していた。

制度本来の趣旨を考えたら、調査報告書の全文を公表するのが当然でありデフォルトであると、一般的な市民感覚をもつ人なら誰もが思うでしょう。

こういう目黒区の姿勢を見せられると、「お役人なんて、やっぱり透明性なんか本当は向上させたくないんだろ」と、区民の皆さんに思われても仕方ない。

おまけに、調査結果を公表したページを丸ごと、しれっと削除。

「どうせ区民は、こんなの見てないだろ。こっそり消したって、どうせバレないよ。ずっと載せたままだと都合悪いしさ」と言わんばかり。

住民をナメるのもいい加減にしろ、という感じです。

3 途中経過を公表したページまで知らぬ間に書き換え

さて、目黒区民の皆さん、そして地方行政に関心のある皆さん。驚くことは、まだあります。

「1」の運用状況を公表したページですが、「そのまま残っていた」と私は上で書きました。が、しかし!!

それは、2023年4月28日に起きました。

目黒区は、調査結果を消し去るのみならず、途中経過を報告していた「運用状況の公表ページ」まで、知らぬ間に中身をすり替えていたのです!

それで変わったのはどこかと言うと、聞いてビックリ、これまた「調査結果」。

具体的には、以下の通りです。

2022年6月15日 更新

2 公益通報者保護制度 令和3年度実績の表の最下行

調査結果 (現在、公益通報者保護委員が調査中)

2023年4月28日 更新(書き換え)

(上と同じ箇所)2 公益通報者保護制度 令和3年度実績の表の最下行

調査結果 委員による調査・事情聴取の結果、違反などの事実までは認められないとの見解が示された。

あの~、すいません、せっかく委員(弁護士)がしっかり調査して、その結果をまとめた報告書なんですけど。たった1文で、「全然問題なかったぜ」みたいなノリで、勝手にまとめちゃっていいんすか? こんな勝手なことしていいって、誰が指示したんですか?

目黒区民の皆さん、これね、本気で怒っていいと思いますよ。

4 2022年7月13日時点におけるホームページ

7月13日更新の区公式ホームページにおいて、調査結果を公表した時点では、それなりの分量で、調査結果報告書の指摘事項が載っていました。

実を言うと、こんなこともあろうかと、私は7月13日更新時点のスクショを撮ってあります。

しかし、目黒区が自らの意思で当初のページを復活させることが、「調査結果ページ丸ごと削除問題」の解決に向けた一歩であると信じるため、あえてここにはスクショを載せません。

もちろん、調査結果報告書の全文を、今からでも公表することこそ、区民の信託に応える正しい方法だと、私は考えています。しかし次善の策として、まずは7月13日更新のホームページを復活させるべきです。

さて、では当初の調査結果公表ページに、どんなことが書いてあったのか。それを皆さんに知ってもらいましょう。

たとえば、通報内容(1)「扉とロッカーの施錠が不十分なため個人情報が流出する恐れがある」に対する委員の意見は、次のとおり記載されていました。

「調査時、個人情報が記載されている関係書類を保管しているロッカーは問題なく施錠されていたが、ロッカー最寄りの扉は施錠されていなかった。機密情報が外部に流出する恐れが高いとまでは言えないが、ロッカーの新規購入を検討するとともに、ロッカー最寄りの扉の常時施錠を検討するべきである」

外部の人から「ロッカー最寄りの扉の常時施錠を検討すべきである」って、そんなこと指摘されてる時点でアウトだろと、皆さん思いませんか?

それと、委員から打診された「ロッカーの新規購入の検討」結果は、どうなったの? 買ったの、買ってないの? もし買ってないのなら、何を根拠に購入不要だと判断したの? 

こんなふうに、あれこれ心配になりますよね。

なのに、調査結果と区の対応策を削除して、「ハイ、これで区政の透明性向上を図りました。以上です」って、それ何ですか?

こんなことでは、せっかく通報した通報者も、さらには調査を実施して結果を報告書にまとめ上げた委員も、まったく報われないですよね。

なによりも目黒区民の知る権利に、区は応えていない。これは疑いようもない事実です。

5 ホームページにおける当該記事の見つけにくさ

「区政の透明性向上」のページって、ホームページの階層のめちゃくちゃ深いところにあるので、地方行政にかなり興味のある人でなければ、その存在に気付くこと自体が難しいんです。

その入り口は、トップページ上部の右端にある「行政情報」という、紫色のデカいボタンみたいなところをポチッとするようになっています(平面的かつ渋い色なので、ボタン感が無くて分かりにくい)。

まず素朴な疑問として、「行政情報って一体何が書いてあるの? 地方行政を担ってる特別区のホームページなんだから、そこに載ってるのって、ある意味では全部が行政情報じゃないの?」と思いませんか。

「目黒区のホームページは分かりにくい」というご意見をお持ちの貴方。それは残念ながら事実です。そう思っている人は、他にもたくさんいます。

職員の私でさえ、トップページから入ったら、探したい記事がどこにあるのか、たどり着くのは困難をきわめます。

一番現実的なのは、トップページ中ほどにあるサイト内検索を使う方法。まあ検索して情報を取ってくるのは、ネットを使う人なら慣れてますが、こういう分かりにくいところに置いてあること自体、何らかの意図を感じてしまいます。

ただし、7月15日号めぐろ区報に掲載された当該記事には、QRコードがついています。そこからであれば簡単にジャンプできます。

しかし、日頃から紙媒体の区報に目を通すことはあまりせず、欲しい情報だけをホームページから取ってくる区民だったら、「ほぼ絶対に」気付かないです。

いや、できるだけ気づかれないように工夫してある、というほうが近いでしょう。

実際、7月15日発行めぐろ区報では、当該記事の背景も地味な灰色にしてあり、できるだけ目立たせたくないという当局の意図がありありと伺えます。

「めぐろ区報 2022年7月15日 公益通報」でウェブ検索してもらえれば、当該ページが出てきます(第8面です)。興味があれば確認してください。

6 (とりあえず)まとめ

もう書いてて疲れます。ほんとに勘弁してくれと言いたい。しかし、とりあえず、この記事を終わらせましょう。

今回の件で、目黒区という自治体とは、一体どこまで隠蔽体質が根深いのかと、あらためて思い知らされました。ここまで来ると、さすがに区民の皆さんも「思ってたよりヤバいな、目黒区」と、その実態を理解していただけたのではないでしょうか。

ちょっとでも目を離すと、すぐにこれですからね。常に見張っていないと、何を隠し始めるか分かったものではないです。

こうなったら目黒区民の皆さん、みんなで輪番で監視しないといけなくなっちゃいますね。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です