今回の記事も、またもや職場の問題シリーズです。どれだけ書いても、次から次へと書くべきテーマ、是正されるべき問題が湧いてくる。それが目黒区役所なのです。
そして、これらは一般的な労働問題としても捉えることができます。役所のみならず、民間企業など他の組織でも、同様の事例が起きている、または起こりうるのではないか。
そうした側面からも、自分がこれらの問題を書くことには、社会的に意義があると信じています。
さて、今回取り上げるのは「執務室内の空間に余裕が無さ過ぎ」問題です。そして、やはり様々な問題が、結局は根底で結びついているということを、あらためて提示します。
以下、具体的に説明します。
ところで、土地などが狭いことを示す「狭隘」(きょうあい)という言葉があります。この記事では「狭あい」と書く場合もありますが、ご承知ください。
1 狭あいな執務室がもたらす職員の精神面への悪影響
現在の目黒区総合庁舎は、かつて民間企業が本社として使用していたものであり、建築物として高い価値をもつと評価されています。建築に興味のある方なら、私なんぞよりも、よくご存知でしょう。
たしかに建物自体は立派です。しかし、その内部はといえば、主に職員の数が増えたせいで、とにかく「空間に余裕がない」。フロアによって程度の差こそありますが、多くのフロアにおいて、人と物がギッシリ詰まっていて窮屈な感じです。
私が在籍している(していた)部署の状況を実例として挙げます。どれほど空間に余裕がないかを、みなさんに想像してもらうためです。
- 机の島と島の間を通るときも、通路が狭過ぎるため(いわゆる)「カニ歩き」をせざるをえない
- 自席の向かいにいる職員の机に書類を置きたいだけなのに、ひとつ離れた島の向こう側の通路を経ないと辿り着けない(ここもカニ歩き)
- パソコンで書類を印刷した後、プリンタまで行く通路も狭過ぎるため、これまたカニ歩き
みなさん、マジか? と思いますよね。しかし、これらは紛れもない事実です。
とにかく執務室内のあらゆる通路が50cmか、それ未満しか幅がない。
通路の幅といえば、どこかで読んだ話ですが、人がスムーズに歩くために必要な通路の幅は「60cm」だそうです。ホテルなどの施設も、たいていは60cmを一つの基準として設計しているらしい。
私が在籍している部署の通路は、60cmどころか50cmあるのかも怪しいほど狭い通路ばかりなので、どこを通る時もカニ歩きをするか、それに近い状態になります。
たとえばですが、仕事に関する書類の入ったキャビネットのところに行こうと思っても、自席の周囲には、すぐ近くに壁や柱、そして他の職員の机や椅子があります。
スムーズに歩くのが困難なほど狭いので、身体を少し斜めにしながら歩くことになります。狭い場所を通る時にやる、いわゆる「カニ歩き」ですね。
世間のみなさんは、「だったら自席の向かい側の通路から行けばいいじゃん」と思うでしょうか。しかし、そこも狭過ぎるので、やっぱりカニ歩きになるのです。
いつもこんな感じです。同じ部署の中の、自席以外の場所に移動したいだけなのに、どこに行くにも、かなり高い確率でカニ歩き。
いっそのこと、カニに生まれ変わったほうが早いんじゃないかとさえ思えてきます。
まあ冗談はさておき、こうした異常とも言えるほど狭苦しい空間で執務することは、職員にとって、精神的に相当なストレスの元になっています。
だって、自席を立って他の場所に行くとき、ふつうに歩ける通路のほうが少数なんですからね。これって結構バカにならないストレスです。そのうち、だんだん立ち上がるのが億劫になってくるほど。
ストレスといえば、立ち上がって歩く職員だけではありません。座っている職員は職員で、他の職員が自席の後ろを通るたび、たびたび椅子を引いてあげないといけなくなってます。
通路が十分過ぎるほど狭いのは、お互いに分かってますから、誰かが自分の後ろを通るたびに気を遣って椅子を引いてあげるわけです。
ただし、この時、立って歩いている職員も内心では「わざわざ椅子を引かせちゃって悪いね」なんて、ちょっとは思うのですよね。
もう本当にストレスの悪循環。こうした状態が、おそらく10年くらいは(正確な年数は不明)続いているのです。
2 狭あいな執務室がもたらす物理的安全性への懸念
そしてなんと言っても、この狭あいさは、職場の物理的な安全面においても大きなリスクになっています。
執務室がこのような状態で、もしも巨大地震が起きたとしたら…
書類の入った棚や機械類が倒れたり、物が吹っ飛んできたりすることは十分ありうる。
元々、それらの物体と人間との距離が適度に保たれているのならまだしも、上に書いたように、物理的にギューギューな状態では、職員が自分の身を守るのさえ難しくなるかもしれない。
こうなっている要因は、もちろん一つではありません。机、書類等を保管するキャビネット、プリンタなどの機械類、書類棚、それらの棚の上に置いてある物体(冊子類)などなど。
建物内部の空間の大きさは、当然ながら変えられません。となると物を減らすしかない。様々な要因があるので、どこから減らせるのかを的確に計算して、コツコツ減らしていく地味な作戦です。
この執務室の狭あい問題は、当然のことながら職員からも意見・苦情が多く、以前から労働組合等を通じて当局に改善を提案してきました。しかし、当局は本腰を入れて是正する気配が見えませんでした。
しかし、今ようやく、最も狭苦しい某フロアの部署の中から、いくつかの部署を選定して、物を減らす試みが始まったところです。
現在は試験的段階のため、全ての部署で狭あい状態が是正されるのは、もうしばらく先の話になります。しかしながら、一応は光が見えてきた。今のところ、そうした状況です。
3 狭いと分かっていながら危険な状態を放置する職員たち
上に書いた状況を理解してもらったうえで、最後に読んでもらいたいことがあります。
これだけ狭苦しい状況にあるのだから、今すぐにでも、個人単位でやれることはやればいいと思いますよね。しかし、さすがと言うべきか、ここ目黒区の職員たちは、やってくれません。
実例を挙げて説明しますね。
私は、今の部署に異動してきて1年ちょっとなのですが、既に1回、軽いケガをしています。
さらに、もう一度、ある物に足が引っかかって転倒しそうになったことがあるのです。
この二つの現象を、ひとつずつ説明します。
(1) 壁に付けてあった金属製クリップで負った手のケガ
私が、執務室内の狭い通路を歩いていたところ、手が何かにぶつかり、痛みを覚えました。
何が起きたのかと見てみると、壁(というか間仕切り)に、マグネット付きの大きな金属製クリップが貼り付けてあったのです。
今はあまり使われなくなっているので、若い人は知らないかもしれませんね。
ちょっと説明すると、鉄を含む素材でできた壁面にマグネットで貼り付けることができる、1辺が5cmくらいの四角い金属製クリップというか、紙挟みが存在するのです。結構、重量感があってガッシリした感じ。
やっぱり分かりにくいですか(笑) 想像しにくい人はネットで調べてください。
まあともかく、人がゆっくり歩きながら軽く振っていた手が、そこに当たっただけで出血するんですから、それなりにゴツい物体です。
で、それを壁面に貼り付けておくと、どうなるかと言うと、紙を挟むための金属製のクリップ部分が、2cmくらい壁面から出っ張っている状態になります。
私が歩いていた通路の壁面に、その金属製クリップが貼り付けてあったため、歩いている時に軽く振っていた手がぶつかった。これがケガをした経緯です。
少量ですが手から出血したので、傷口を軽く水で洗ってから絆創膏(バンドエイド)を貼っておきました。
幸い病院で手当を受けるほどのケガではなかったので、病院には行かずに自己治療で済ませました。
帰宅後は、自宅に備えてあった、いろいろな傷に使える塗り薬を患部につけて、絆創膏を貼っておきました。それを日々繰り返し、たしか1週間くらいで完治したと記憶しています。
この時の私は、病院にこそ行かなかったものの、ケガをした直後に、直属の上司に対して、次のとおり指摘しておきました。
「こんな狭い通路に、金属製の大きなクリップが貼り付けてあったので、今、手をぶつけてケガをした。たまたま手だったからいいものの、もし転んで頭や顔をぶつけていたら、もっと大きなケガになっていた恐れもある。職場の安全管理をしっかりやってほしい」という内容のことです。
まあ当然の話ですよね。私自身、もっと早く気づけばよかったのですが、私が異動してきた時点で、既にクリップは壁(間仕切り)に貼ってありました。
ですから、本来であれば、私が異動してくる前から今の部署にいる職員たちが先に気づき、「これって誰かケガをしたら危ないから、今のうちに取り除いておこう」と考えるべきでした。
こう言ってはなんですが、私が異動してくる前から今の部署にいる彼らのほうが、私よりも責任は重いです。
職員が10人もいる係なんですけどね。それだけの数の職員がいるのに、これは放っておくと危ないぞ、ということに気づくことができない。
私のブログを読んでくれている読者の皆さん。これって、何かに似ていると思いませんか?
そうです、私が以前に在籍していた「Z課」の職員たちと、本当にそっくりですよね。
Z課の職員たちは、自分たちの目の前に、ただちに解決すべき問題が山ほどあるのに、ほとんど全ての職員が、それらの問題の存在に気づくことすらできなかったのです。
問題があっても、問題の存在に気づく能力すら持っていない
↓
あたかも問題は無いものであるかのように放置される
↓
区民の権利・利益を大きく侵害する事故を発生させる
2019年9月に目黒区税務課職員が起こした「DV被害者個人情報漏洩事故」は、こうした構図から生まれたと言えるでしょう。
このようにして、私は新しい部署に異動してもなお、問題意識の不足した職員たちが大勢いることを思い知らされたのです。もしかしたら役所全体が、こうなっているのかもしれません。そうでなければ、2つの部署で立て続けに、同じような現象を目にするわけがないと私は思います。
今回、私は軽症で済んだものの、もし私が上に書いたように、床につまずいたりして、金属製クリップに頭や顔をぶつけていたら、もちろん労災を申請していたでしょう。
「たかだか手に軽いケガをしただけじゃん」なんて言ってはいけません。これは、運良く軽いケガで済んだだけであり、一歩間違っていたら、たとえば目に金属部分が当たっていたら、失明する、あるいは目に障害を負うようなこともありえたわけです。
実際、執務室の床のタイルカーペットには、場所によって角の部分にめくれがあります。定期的に確認して、人がつまずいて転倒しないようにしたほうがいい、と私はいつも思っています。しかし、これもまた、私以外の職員はあまり気にしている様子はありません。
もしも私が、めくれたカーペットの角につまづいて、転倒しながら金属製クリップに顔をぶつけていたら…
上に書いたように、顔や目にケガを負っていたかもしれない。そういう事態になる危険性を想像する力は、彼らにはないのでしょうか。
(2) 執務室内の通路にはみ出していたワイヤーにつまずき転倒しそうになる
これは、つい先日の話です。
私が仕事中、用事があったので自席を立ち、廊下に出ようとしました。その時、足に何かが引っ掛かってバランスを崩し、あやうく転倒しそうになりました。
何が引っかかったのかと足元を見ると、それは、ある物体を固定するためのワイヤーでした。どんな物体なのか書くのは避けますが、本来ならば、通路にはみ出さないよう奥に引っ込めておくべき性質の物体です。
それに、ただでさえ狭い通路(幅40~50cm?)です。ワイヤーという細い紐状の物がはみ出していたら、誰かが歩いている時に足に引っ掛かり、転ぶかもしれない。こんなことは誰でも容易に想像できます。
しかし、「誰でも簡単に想像できることを想像できない」のが目黒区職員なのです。
私がこのブログで書いてきた目黒区の諸問題は、表面的には違って見えても、根本のところでは似た性質のものばかりです。それは、いかに目黒区職員が同じような間違いを繰り返しているかの裏返しとも言えるのです。
私は、またもや危機管理意識の低い職員たちのせいで、ケガをさせられそうになったわけです。私は、その場で、その時に自席に座っていた係の職員たちに対し、こう言いました。
「(これの)ワイヤーが足に引っかかって転びそうになったんですけど。しっかり奥に入れること。ちゃんと考えてよ」とね。
今の部署に異動してきて、実際にケガをしたのが1回、あやうく転倒しそうになったのが1回。
危機管理(または安全管理)に対する職員たちの意識の低さに、私もいい加減、怒りが湧いたので、少し強めの口調で注意してしまいました。
しかし、この文章の全体を読んでいただいた方なら、この時の私が、少しくらい叱るように注意したって当然だと思ってもらえる、そう私は考えます。
あらためて、私は目黒区の職員たちに、こう尋ねたい。
「あなた達って、目の前にある危険性に、どこまで気づく能力がないの?」とね。
通常あるべきリスク管理の意識をもつ人間であれば誰もが、私と同じように思うに違いありません。
4 まとめ
以前にも書いたように、小さいけれど大事なこと、大事だけれど小さく見えること、こうした物事を軽々しく扱っていると、いつか巨大な事故につながります。
繰り返しになりますが、2019年のDV被害者個人情報漏洩事故は、その最たる例なのです。
その後も連続的に目黒区で発生している個人情報漏洩事故(すべて正直にプレス発表しているか不明…)。
そして2022年の公益通報(内部告発)。
目黒区職員たちの危機管理意識の異常なまでの低さ。
コンプライアンス意識の驚くべき低さ。
そして21世紀を生きる現代人として、ありえないほどの倫理意識の低さ。
これらは残念ながら、まったく改善されていないようです。
目黒区民の皆さん、区議の皆さん。目黒区が何をやり、また何をやっていないのかを、しっかりと監視してください。
このままでは、いつまた大きな事故を起こすか本当にわからないと、私は心から危惧しています。